高齢者の転倒は1度でも寝たきりになるリスクが高い!
■目次
▼高齢者の転倒事故は要介護状態の入り口になりうる
▼自宅内での転倒事故発生場所や事例
▼住み慣れた自宅であっても、転倒予防の注意を怠らない
▼転倒予防のポイント
▼過信ぜず、本人だけでなくみんなで転倒予防
高齢者の転倒事故は要介護状態の入り口になりうる
10月10日は厚生労働省と消費者庁が日本転倒予防学会と協力して、日本転倒予防学会が主唱する転倒予防を国民に呼びかける「転倒予防の日」
高齢者の「不慮の事故」のうち「転倒・転落」によるものは「死亡者数」、「救急搬送者数」ともに多く、毎年継続的に発生しています。
転倒によるケガは頭・顔・首の擦過傷、挫傷、打撲傷が多くなっていますが、次いで多いのが足の骨折です。
高齢者の場合は骨折や頭部外傷等の重大な障害を招き、これが原因で介護が必要になることもあります。
転倒事故の約半数が住み慣れた自宅で発生しており、条例者の場合は身体機能の低下・注意力の低下が転倒の要因と言われています。
この5年間で65歳以上の高齢者が自宅で転倒したという事故情報が275件寄せられています。
自宅内での転倒事故発生場所や事例
転倒事故の発生場所
浴室・脱衣所、庭・駐車場、ベッド・布団、玄関・勝手口、階段
転倒事故の状況
滑る、つまずく、ふらつく、引っかかる、ベッド等から移動時に転倒
事故事例
・足がもつれて階段から転落
・床のコードに引っ掛かり転倒
・廊下の段差でつまずいて転倒
・薄暗い場所で障害物に気が付かずの転倒
・滑りやすい風呂場でバランスを崩してやけど
・物をもって階段を上がろうとして転倒
住み慣れた自宅であっても、転倒予防の注意を怠らない
長年暮らしている自宅のような慣れ親しんだ環境であっても、加齢による筋力、視力、バランス感覚の低下、注意力の低下など心身の変化によって転倒事故のきっかけになる危険性がが高まっていきます。
高齢者の心身の変化に合わせて身近な方が高齢者を取り巻く環境を見直すようにしましょう。
身体状況の低下を把握する
加齢による身体機能の低下、転倒に繋がりやすい特定の疾患、薬の副作用による転倒の可能性など、高齢の身体の状態について確認しておきましょう。
高齢者は加齢に伴い、また疾病等の影響により、筋力、視力、触覚、平衡感覚、反射神経、嚥下能力などの身体的な機能が低下する傾向にあります。
そのような変化により歩行速度が低下、脚を上げづらくなる、薄暗い場所が見えづらくなる、バランスを崩しやすくなる、とっさのことへの反応が遅れるといったような生活上の行動に影響が生じるようになります。
高齢者自身は身体機能の低下を正確に自覚していない場合があり、長年の生活習慣・経験による感覚や思い込みも影響して、判断を誤ることがあります。
そのような認識のずれや判断の誤りにより、できると思っていた作業が実際にはうまくできず、障害物につまずき、転倒に繋がってしまうということが出てきます。
また他人の手を借りたくない、心配されたくない等の思いから一人で作業を行い、危険な行動や製品の誤使用などをしてしまうというケースもあります。
家族や親せき、近隣、地域の方など高齢者の身近にいる方々の意識も大切
転倒・転落事故は高齢者本人だけではなく、ご家族や親せきの方、近隣、地域の方など高齢者の身近にいる方々が意識することで防ぐことができます。
階段や床の段差はつまづきやすいく危険です。
高齢者の生活環境を確認し、段差など高齢者にとって危険となる箇所を減らしたり、転倒しても大ケガにならないように工夫しましょう。
また、電化製品も注意が必要です。
高齢者だけでは買替えや交換の負担が大きく長年使用している照明などの製品は故障や不具合が生じた状態で使い続けており、危険なものになってしまっている場合があります。
転倒予防のポイント
定期的に家の中を整備
段差のあるところや階段、玄関には手すりや滑り止めを設置。
ちょっとした段差こそ注意力が低下し、つまずきやすいので注意が必要です。
電気コードは通り道にこないように電気製品を設置しましょう。
浴室や脱衣所には滑り止めマットを敷き、寝起きや夜間のトイレなどでベッドから起き上がるときや体制を変える時は慎重に行うようにしましょう。
自分に合った適度な運動を続け、身体の機能の低下を防ぐ
無理のない程度に継続的にできる運動をしましょう。
・椅子やテーブルに手をついた状態で身体を支えながら10~20回を目安にかかとの上げ下ろしを繰り返しましょう。
・椅子に深く腰を掛け、片方の足をゆっくりと上げ、ゆっくりとおろします。
逆側のありも同様にし、交互に繰り返しましょう。
・手を胸の前でクロスし、ゆっくりと椅子から立ち上がり、ゆっくりと椅子へ座ります。
過信ぜず、本人だけでなくみんなで転倒予防
高齢になってくると本人は大丈夫だと思っていても実際には危険なこともあります。
まだまだ若いという気持ちも大切ですが、高齢者の場合ケガをしてしまうと回復するまでに時間がかかります。
1度の転倒が寝たきりになってしまったりと、転倒は要介護状態への入り口になってしまう可能性が高いので、転倒しないように環境を整えることが重要となってきます。
本人は自覚していなくても身近な人が気にして自宅の環境を整備することで防げることもあります。
また、環境だけでなく身体機能の低下を防ぐことも大切です。
日常の中に適度な運動を取り入れましょう。
1番大切なのは「継続」して行うことです。
運動だけでなく「きれいな歩き方」をすることでつまずきなどの転倒予防もできます。普段から少し遠くを見て背筋を伸ばして歩くことを心がけましょう。