認知症の方への老人ホーム対応方法
総人口の2割以上を占めているのが70歳以上という日本の状況で、皆が健康で生活に不自由なく暮らしているとは限りません。
中には誰かに手助けをもらい生活しなければ、生活できない方もいらっしゃいます。
老人ホームに入居されている方の中には、認知症の方も多く入居されています。
認知症の方はどういった行動をとってしまうのか、老人ホームでの対応はどのようなものなのかを見ていきます。
認知症とは
まず認知症とは病名ではありません。
正常に働いていた脳の活動が低下し、日常の生活に支障をきたすことを指します。
老化に伴って引き起こす認知症が一般的にイメージしやすいと思いますが、その他にも病気が原因となり引き起こす症状もございます。
老化によっての認知症は、体験の一部を忘れてしまう記憶障害を起こします。
病気によっての認知症は、体験そのものを忘れてしまう記憶障害を起こします。
在宅で生活されている高齢者にも認知症の方は多く、介護をしていくのが大変になり老人ホームに入居してもらう場合も多くみられます。
認知症が進行するにつれて中核症状と呼ばれる見当識障害や遂行機能障害、記憶障害も進行していきます。
認知症によって引き起こされる障害
●見当識障害 | → | 現在の日時、場所、人を見て自分が置かれている状況を認識する能力が衰えること |
●遂行機能障害 | → | 物事を順序立てて計画し行動する事ができないこと |
●記憶障害 | → | 記憶を思い出すことが出来ないこと |
見当識障害は、ひどくなると自分や親しい人の名前がわからなくなってしまったり、今日が何月何日何曜日かわからないとか今どこにいるかわからなくなってしまったりする症状が出てきます。
それにストレス・孤独感・不安感による心理的要因や慣れていない場所や状況による環境的要因などが作用して、認知症の高齢者は脱走・徘徊をしてしまうのです。
一度外に出てしまうと老人施設や自宅へ戻ることが難しくなってしまいます。
老人ホームの対応
多くの老人施設では、認知症の方の脱走をしてしまう入居者の対策に悩んでいます。
例えば認知症の入居者の居室に鍵をかけてしまったりすることは身体拘束となり禁止されていて、厚生労働省から身体拘束ゼロ運動が推進されています。
※身体拘束ゼロへの手引き 厚生労働省
でも、本人からしたら脱走するのにはちゃんと理由があるのです。
「仕事に行こうと思って」「娘がまだ帰ってこないから心配で探してくる」「息子に会いに行きたい」とかその理由は様々で、それを無理矢理連れ戻そうとすればもちろん拒否されます。
指示が入らない人であれば、場合によっては強制的に連れ戻すこともやむを得ないこともあるでしょう。
その脱走・徘徊の対策としては見守り強化と本人の話を傾聴して受け入れ、不安を取り除くことが必要です。
外に出ようとした時になにか気をそらす工夫をしたり、偶然かのようになにか用事を頼むことも効果的です。
安心してもらう環境づくりはとても大切で、暴言を吐いたり無理矢理連れ戻そうとするほど逆効果な場合がほとんどです。
もしも外に出てしまった場合に備えて、近所の人に周知してもらっておくことと認知症の入居者の衣服やキーホルダーに名前や電話番号を書いておくと良いでしょう。
今はGPSという便利な機能もありますし、徘徊対策の見守りサービスをしてくれる警備会社もあります。
他にも居室から離れるとアラームが鳴るセンサーや玄関や居室前にセンサーマットを敷いておく方法もあります。
昼間は定期的に誰かと外出することで、気分的転換となり脱走することが少なくなることもありますし、本人の気持ちに寄り添って理解することが対策を見つけることのヒントになるでしょう。